婦人科腫瘍におけるTILの効果的な増殖法・遺伝子改変法を開発
当教室の論文が米国免疫学会(AAI)の学術誌・Journal of Immunologyに受理されました。筆頭著者は名古屋大学産婦人科から大学院生として研究に参画してきた松川 哲也君です。
Matsukawa T, Ouchida T, Hayakawa T, Yoshikawa T, Ito Y, Kasuya H, Umehara C, Inoue S, Chiyoda T, Nishio H, Yamagami W, Hosoda W, Suzuki S, Kagoya Y. Efficient expansion of tumor-infiltrating lymphocytes from gynecologic cancer. J Immunol. 2025 (online first). doi: 10.1093/jimmun/vkaf259. PubMed
腫瘍浸潤リンパ球療法、通称TIL療法は最初に研究開発が進められてきた免疫細胞療法です。近年CAR-T細胞をはじめとする遺伝子改変T細胞療法が脚光を浴びていますが、TIL療法も2024年に再発・難治性の悪性黒色腫に対して米国で薬として承認が得られています。TILの欠点として腫瘍環境下で既に免疫応答を行っているT細胞を取り出して培養を行うため、採取時点で既に終末分化・疲弊が進んだ状態で、T細胞の質が良くない点が挙げられます。本研究では婦人科腫瘍検体を用いてTILの質を向上させるための培養方法や遺伝子改変方法を試みており、当研究室ではこの知見をベースに今後TIL療法の改良を試みる計画です。